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2021/11/20

医療ミスの相談はどこにすれば良い?正しい対処法や注意点を解説

公開日: 最終更新日:

医療ミスの相談はどこにすれば良い?正しい対処法や注意点を解説

私たちの健康を維持するために病院は欠かせない存在です。

 

しかし治療の過程において、何らかの理由によって患者本人に被害が及ぶケースもゼロではありません

 

特に医師や看護師の人為的なミスによって医療過誤が生じた場合、患者本人やその家族が病院側の非を認めさせることは極めて難しいものです。

 

万が一、医療過誤によって命を落としてしまったり、重大な後遺症などが残ってしまった場合、患者やその家族はどこに相談するべきなのでしょうか。

 

この記事では正しい対処法や注意すべきポイントについて解説します。

医療ミスとは?

医療ミスと似たような言葉として「医療過誤」というものがあります。

 

「過誤」という言葉は、その名の通り「過ち」や「誤り」といった意味を表します。

 

すなわち医療過誤とは、医療行為において過誤が生じたことにより、患者に対して何らかの被害が及ぶことを指します。

 

具体的には、医師の診断ミスや手術ミス看護師による投薬ミスなど、さまざまな例が考えられますが、いずれにしても医療従事者の人為的なミスに起因するケースが少なくありません。

医療過誤と医療事故の違いとは?

医療過誤と似た言葉として「医療事故」も存在します。

 

医療事故とは、医療に関わる場所で発生する人身事故のすべてを含む広い言葉です。

 

例えば、医療従事者が被害者である場合も医療事故です。そのため、医療事故には医療過誤も含まれます

 

医療は絶対ではないので、一定の確率で事故は起きてしまいます。

 

そのため医療現場では航空事故調査等に倣い、日常医療の中で発生する事故をインシデントやアクシデントとして報告し、重大な事故を防ごうという取り組みが広まっています。

 

難しいのは、医療事故が起きたときにそれが人為的なミスで起きた医療過誤なのかどうかを判定することです。

 

たとえば、入院中の患者がベッドから落下して怪我をした場合には、医療過誤ではない医療事故といえるかもしれません。

 

しかしベッド柵を設置し忘れたなど、何らかのミスがあって転落事故が発生した場合には医療過誤として認定される可能性もあります。

 

 

医療ミスが疑われる場合の正しい対処法

上記で紹介した通り、医療過誤と医療事故は紙一重ともいえるものであり、どちらに認定されるかは発生当時の状況によってもケースバイケースです。

 

医療の専門知識がない一般の患者や遺族だけの力では、正確に分析することは極めて難しいでしょう。

 

そこで、もし診療や処置、手術の過程において不自然なことがあったり、その他何らかの理由によって医療過誤が疑われる場合には、医療問題に詳しい法律家や専門家に相談することが重要です。

 

なお、法律家や専門家へ相談する際には、それまでの診療内容や経過について詳しく記載された資料があればスムーズです。

 

検査や手術の内容、点滴の頻度や投薬の内容、医師や看護師からの説明、患者の容態の変化などについて、分かる範囲で時系列にまとめておきましょう。

 

 

医療ミスによる損害賠償を請求する際の注意点

医療ミスの可能性が高く、病院を相手取り損害賠償を求める裁判を起こすとなった場合、あらかじめ注意しておくべきポイントがあります。

時効

医療ミスに対する損害賠償請求は、主に「債務不履行(診療契約上の義務違反)」および「不法行為(医師が負うべき注意義務違反)」が法的に認められるかが争点となるでしょう。

 

しかし、これらはいずれも消滅時効が存在し、債務不履行を根拠にする場合には10年不法行為を根拠にする場合には、被害者等が損害の事実と加害者を知った時から5年で損害賠償請求権が消滅してしまいます。

 

さらに、不法行為の場合は、被害者等が損害の事実と加害者を認識していなかったとしても当該行為から20年が経過すると時効が成立します。

判決が出るまでの期間

裁判所へ訴えを起こしてから第一審の判決が出るまでの期間は、事案によっても異なります。

 

しかし、近年では裁判の迅速化が求められるようになり、2014年の時点では全国平均で22.6か月となっています。

 

従来は5年、10年という期間が当たり前であったことを考えれば、十分迅速になったといえるでしょう。

 

しかし、一般の感覚からすると約2年という期間は決して短いとはいえないことも事実です。

敗訴した場合にかかる費用

医療ミスにかかわらず、裁判においては敗訴した原告または被告に対し、「訴訟費用は原告(または被告)の負担とする」ことが命じられるケースがあります。

 

そのため、敗訴した場合の経済的リスクも考えておかなければなりません。

 

なお、「訴訟費用」とは、書類の郵送代や印紙代、鑑定費用、証人が出廷した場合にはその旅費・日当などが該当しますが、相手方の弁護士費用は含まれません

 

 

医療過誤を弁護士に相談した時の費用

医療過誤の裁判を起こす場合、多くの方にとっての懸念事項として費用の問題が挙げられるのではないでしょうか。

 

弁護士への法律相談は基本的に、1時間あたりの報酬が定められており、弁護士によっても費用は異なります

 

医療過誤を専門に扱う弁護士は、1時間あたりの相場は1万円〜2万円程度ですが、初回に限り無料で相談に乗ってくれる場合もあります

 

ただし、医療過誤にもさまざまな事案があり、一概に上記の金額内で収まるとは限りません。

 

あくまでも上記の金額は一般的な相場であるため、詳細な金額については弁護士に直接相談するのがベストです。

 

 

医療ミスが起きた時の弁護士の選び方

医療過誤の損害賠償を請求する場合、どのような弁護士を選べば良いのでしょうか。特に重要なポイントを2つ紹介しましょう。

医療ミス・医療事故に強い弁護士に依頼する

一口に弁護士といっても、民事に強い弁護士もいれば刑事事件に強い弁護士も存在します。

 

しかし、そのなかでも医療ミスは特殊な分野であり、弁護士として法律的な知識を有していることはもちろん、医療分野にも精通していなければなりません。

 

そのため、医療過誤や医療事故といった分野を専門に扱っている、または医療分野に強い弁護士を探すことが重要です。

 

弁護士事務所のホームページや広告は、医療過誤に強いと謳っていても実績が乏しいケースもあります。

 

これまで実際にどのような事案を扱ってきたのかも合わせて確認すると良いでしょう。

複数の弁護士に相談する

弁護士は当事者の代理人としてさまざまな交渉を行ったり、裁判に出廷したりするため、依頼者との信頼関係を構築することが極めて重要です。

 

しかし、自分自身の置かれた状況を親身になって考え、安心して依頼できる弁護士と巡り合うまでには、必ずしも最初に相談した弁護士が最良とは限りません

 

弁護士によっても考え方や判断は異なり、なかには相性が良いとはいえない弁護士もいるでしょう。

 

実際に複数の弁護士に相談してみると、「これは医療ミスの可能性が高い」と判断されるケースもいれば、「医療ミスとして認められる可能性は低い」とアドバイスされるケースもあります。

 

一人の弁護士の意見だけで依頼先を決めるのではなく、できるだけ多くの弁護士と会話をし、本当に信頼できると感じた弁護士を選ぶことが重要です。

 

 

 

医療ミスが疑われる場合には、できるだけ早めに弁護士へ相談を

今回紹介してきたように、医療ミスは患者やその家族だけの力では戦うことが難しく、専門的な知見をもった弁護士の存在が不可欠です。

 

また、医療ミスには消滅時効も存在し、一定期間が過ぎると損害賠償請求そのものができなくなってしまいます

 

少しでも治療の過程で違和感を覚えたり、不審に感じることがあれば、まずは医師や看護師へ確認しましょう。

 

そのうえで、病院側の説明に納得できない場合や、そもそも医療過誤が疑われる場合には、できるだけ早めに弁護士へ相談することが重要です。

 

 

本記事は以下を参考にしています。

https://www.kobe-medsafe.com/14181068806151

http://www.iryoukago-bengo.jp/category/1597725.html

https://www.miraio.com/malpractice/price/

この記事の監修者

不破 英登

経歴
2009愛知医科大学医学部医学科
津島市民病院
2011名古屋第二赤十字病院 放射線科
2016名古屋市立大学大学院医学研究科 放射線医学分野 助教
2018豊田若竹病院 放射線科
YKR medical consult設立
2018家来るドクターJAPAN株式会社 顧問医師
2021YKR medical consult 代表就任
 【資格】
産業医・放射線科診断専門医

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