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信号機のない住宅街のT字路交差点において、被害者が歩行中、前方から加害車両が右折をしようとして、歩行中の被害者の正面から衝突した。この事故により、被害者は両手尺側のしびれ、左腋窩から左前腕のしびれ等の症状を負うこととなった。
自賠責保険会社は、被害者の「両手尺側のしびれ、左腋窩から左前腕のしびれ等の症状」について、画像上の所見が認められないことに加え、神経学的異常所見が認められないとし、被害者に他覚所見由来の神経症状がないと判断していた。
また、自賠責保険会社は、上記他覚所見が認められないことに加え、その他治療状況等から、被害者の症状は「将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉え難い」とし、後遺障害非該当と判断した。
事前認定に対する異議申し立てとして、被害者の体に残存するしびれ等の症状について、自賠責保険後遺障害非該当との判断を覆す裏付けをいただきたい。
Evaluation
本件の画像評価の一部を掲載します。
頸椎MRI(緑のカットラインはC6/7)
頸椎MRI(緑のカットラインはC7/Th1)
MRIにて黄色で示すように左(第6,7頸椎)C6/7,(第7、第1胸椎)C7/Th1にも同様に左椎間板ヘルニアを認め、C7、C8神経根の圧迫を認める。正常であれば椎間板の突出はなく、神経根への圧迫も認めない。
Opinion
本意見書では、①交通事故後の画像所見から、交通事故後に実際に確認できる症状を指摘し、②治療経過及び症状の経過から被害者の症状の永続性を意見した。
Appraisal results
まず、画像所見から交通事故受傷後の第6/7頸椎に椎間板ヘルニアが確認されていること、及び事故後から一貫して、左上肢尺側の痺れ、中指から小指の神経症状を訴えていることを踏まえ、当該画像所見に基づくC7、C8神経根症状が発生している点を認めた。
次に、被害者は本件事故直後より左上肢尺側及び左中指から小指の神経症状(知覚異常、疼痛、痺れの症状)を訴えており、実際にその症状は「初診時」から「終診時」に至るまで継続していた。また、症状に対して投薬するものの半年以上改善がなかった。この点を踏まえて、残存する症状は事故後から変動なく一貫して存在していると判断し、被害者の症状の永続性を認めた。
以上の点から、自賠責保険会社の下した後遺障害非該当という判断は誤りであると意見した。
Voice
後遺障害非該当の認定を覆し、14級9号該当の認定を受けることができました。