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本件事故は、被害者運転車両が信号停止中に後方車両に追突された。
被害者は当該衝突により項部痛・背部痛を発症した。
事前認定において自賠責は「本件事故による明らかな外傷性の異常所見は認められず、回復が困難と見込まれる障害とは捉え難い」とし、後遺障害は非該当であると判断していた。
事前認定に対する異議申し立てとして、交通事故被害者の項部痛・背部痛について、自賠責保険後遺障害非該当の判断を覆す裏付けを頂きたい。
Evaluation
本件の画像評価の一部を掲載します。
頸椎Xp 正面 側面
→C5/6の変性強い,髄腔への突出を確認できる。
→変性に伴うアライメントの変化
Opinion
本件では、①受傷機序 ②臨床経過 ③画像所見 の3点から、自賠責が非該当と判断する根拠についてその所見はいずれもが根拠の乏しいものであることから、後遺障害等級の再度検討が必要であると主張した。
Appraisal results
まず、本件で撮像されたXp画像のみからは骨折や軟部の損傷を否定することはできないため、自賠責の「外傷性の異常所見は認められず」「客観的な医学的所見に乏しい」という判断は根拠に乏しいと意見した。具体的には、むち打ち損傷による頸椎の急峻な運動が過負荷を加えた可能性を踏まえ、被害者の症状には事故による頸部運動過負荷から疼痛を伴う顕性頸椎病変への移行や神経障害性疼痛の発現があったことを述べた。
そのほか、上記で述べた具体的可能性を裏付ける根拠として、頸椎の可動域制限があることや、頸部痛には再現性があることが定期的にカルテに記載されていた事実、主治医が一貫して記載する頸椎捻挫や背部打撲傷が本件被害者の主訴である頸部痛や背部痛を満たす病名であること、ジャクソンやスパーリングなどの頸部ストレステストに関する記載について意見を加えた。
また、薬剤治療・リハビリテーションなどの臨床経過から標準的で妥当な治療がなされ継続されたものの、半年以上の経過で症状が不変かつ改善されず、これ以上の治療継続を以てしても症状が改善しないことを示すものであると判断できることから、本件項部痛は今後回復が困難と見込まれる障害であり、症状の永続性があると意見した。